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ゴトウカンタという男

2012.01.05.Thu

    彼を初めて観たのは兵庫県予選の決勝。これまでチームとして華々しい結果を残すわけでなく、個人としても地域選抜にすら引っかからず、チェックしようにもない存在だったが、この試合で彼は眩い輝きを放った。

    1試合を通しチャンスに顔を出し続ける運動量、躍動感のあるドリブル突破、スピードを生かしたフリーランでチャンスに絡み続け、左右問わず冷静なシュートを放つ。守備でも手を抜かずに走り続け、その姿は多くの者を魅了した。「こんなタレントおったんや」迷わずチームの最注目選手にしようと、声をかける。「今日は全然ダメでした。トラップもミスしてばっかりやったし、1対1も外してしまったし、正直、個人的には優勝しても全然喜べなかったです」彼から出てきたのは意外な言葉だった。反省ばかりを口にする。同級生いわく、集合写真からも隠れてしまうシャイな奴。そんな彼に対し、大路照彦監督は「あいつしかキーマンはいないし、決めてくれれば試合に勝てる。完成度が高いし、上のレベルでも通用する」と発奮や自覚を持たす意味を込めて、そう評する。

    彼に魅了されたのは私だけじゃなかった。セレッソの目に止まり急遽、練習に参加。当初はインパクトを残せなかったというが、最終日にはらしいプレーを披露。大路監督も「セレッソに行ってスピードと緩急がついた」と収穫を話す。それでも彼は変わらない。大会前、彼に「プロどうやった?」と尋ねてみると返ってきたのは「全然ダメでしたよ。寄せもプレーも速いし何も出来なかったです」予想していた通りの答え。続けざまに「なんでそんな自信ないの?」と聞いてみる。彼は「僕は下手やから。攻撃に絡み続けてチャンスの数を増やすしかないんです。数打ちゃ当たるです」と苦笑いを見せつつ「自信持っていいか分からないんです。おごりって言うんですか?自分の力以上のことを信じてダメになりたくないんです」と打ち明ける。

    大会初戦で2ゴールをあげ優勝候補の筆頭、山梨学院に勝利。予選決勝時は私だけだった取材陣も山のように集まり、「正直、ビビった」という。それでも、「注目されてるんですかね?ホント運だけですよ。生まれつき運いいんです。今日かってこうやって色んな人にインタビューされて。こんな経験もう人生でないですよね」と彼らしい発言に変わりはなかった。続く3回戦の近大附戦、準々決勝の大分戦でもゴールをあげて大会4ゴール。ただ、某スカウトが「もっと出来ますよ」と話したように県決勝で見せた持ち味は見せられなかったように感じた。大分戦の後、彼に質問をぶつけてみる。“ダメでした”彼がそう口にするより先に。「大会通じてゴールはあげたけど後藤君らしい“運動量の多さ”が無かったように見えた。何かあった?」「心肺機能が落ちてました。ホントはもっと守備に戻りたかったし、攻撃にも絡みたかったけど、動けなかった」反省しか口にしない彼らしさの中に、大きな変化があった。県予選ではしどろもどろ言葉を繋いでいた彼が、しっかりと私に面を向いて話している。少年が大人になった瞬間に立ち会えた気がした。

    センスは抜群。セレッソも認めたようにプロでやれる可能性は十分にある。と同時に彼は学校新聞に将来の夢について「食品会社の社員」とも話している。プロと大学。彼がこの先、どういった道を歩むのか分からない。ただ、どんな道を選んでも今後の彼を応援し続けたいと思える選手であった。
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